本会議 2009.6.19です。

参議院議員 牧山ひろえ 本会議 2009.6.19
本会議 牧山ひろえ
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○牧山ひろえ君 民主党・新緑風会・国民新・日本の牧山ひろえです。

 私は、政府提出の租税特別措置法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。

 国民の麻生内閣への支持率は急速に低下し、今や一〇%台を切ろうとしています。国民の信を問わずに総理大臣を替え続けたツケがこの結果であることは明白な事実です。官僚任せの政治で今、国民生活を苦境に追いやっていることを猛省し、即刻国民の信を問うべきであることを強く申し上げます。

 さて、四月の雇用統計では、有効求人倍率が過去最悪の〇・四六倍に落ち込み、完全失業率も五年五か月ぶりに五%台に悪化しています。国民の将来不安は日に日に募るばかりで、大胆な対策を打つことができない政府・与党の対応に国民は失望しています。

 政府が何もしないのならばと、雇用と就労・自立支援カンパを始めた団体もあるなど、もはや有効な対策を打つことができない政府は即刻退陣すべきであり、もはや政権交代を果たして、友愛精神の下、国民主体の政治をすべきであることを重ねて申し上げ、本法律案に反対する理由を述べます。

 反対する第一の理由は、理念なきばらまきのツケを消費税増税を見込んで国民に負担させる政府・与党の平成二十一年度補正予算そのものに反対であるからです。

 十五兆円にも及ぶ巨額の補正予算については、私たちの追及でも明らかなとおり、実に四十六もの基金に約四・四兆円の不透明極まりない財政支出がなされ、独立行政法人や公益法人などの天下り先に三兆円もの巨額の税金が垂れ流されるのです。これを天下り温存予算と言わずして何と説明するのでしょうか。

 その一方で政府は、安心社会の実現のためには消費税一二%が必要であるとの主張をしていますが、消費税を引き上げても国民のための社会保障の強化に充てられる保証もなく、財政赤字穴埋めのための増税になりかねないのです。そして、日本の借金は今や八百兆円。赤ちゃんから御年配の方々まで、なぜ七百万円近い借金を背負わせるのでしょうか。国民の信を問うていない政権が勝手に借金を作ることは断じて許せません。

 反対する第二の理由は、本法律案が理念なき税制改正であり、効果も定かではなく、格差を更に拡大させるからです。

 政府は緊急経済対策の名の下に、住宅取得のための時限的な贈与税の軽減、研究開発税制の拡充、中小企業の交際費課税の軽減を行おうとしていますが、まず、住宅取得に係る贈与税の非課税措置については、そもそも不動産を所有していない人には何のメリットもないこと、研究開発税制の拡充については、九八%近い減税額が大企業に適用されているのが実態で、補助金と同じ効果を持つ租税特別措置の透明化を図るよう見直しが図れていないこと、中小企業の交際費課税に関して言えば、そもそも交際費が使えるほどの余裕がない企業にとっては何のメリットもないことが明らかです。

 そうではなくて、今本当に必要な政策は、生活に苦しんでいる国民に焦点を当てる、光を照らすことです。

 失業して苦しんでいる人が少なくとも三百五十万人います。住むところ、食べるものに困っている人が本当に多いんです。四十六もの基金をつくる前にこうした方を救うべきではありませんか。介護施設に入所できず困っている人、一方で厳しい労働環境と低賃金に耐えながらもけなげに介護を支えている方がいます。母子加算の廃止で苦しんでいる親子がいます。私たちは母子加算を復活させる生活保護法改正案を参議院に提出しました。およそ百八十億円で彼らの生活を支援することができるのです。義務教育の国庫負担削減により子供たちの教育環境が悪化しています。現行では国が三分の一を負担していますが、補正予算で計上された三兆円を充てれば国庫負担で賄えるのです。また、就学援助の基準が明確でないので、すべての子供にひとしく教育が施されていないのも悲しい現状です。十分な年金を受給できない、あるいは本来もらえるはずの年金がもらえず生活に苦しんでいる人がたくさんいます。厚生労働省のサンプル調査で、少なくとも百十八万人が無年金者であると推計されるとのことです。

 こうした苦しんでいる国民に対して、天下り温存予算を何と説明するのでしょうか。本当に苦しんでいる国民に対して税金が使われるのであれば、だれも異論を唱えることはないのです。

 一昨日の党首討論で、我が党の鳩山代表は、人の命をまず大事にする政治というものをつくると明言しましたが、本当に生活に困り、行き場を失い、自ら命を絶つ方が増えています。

 警察庁の統計によりますと、自殺原因の第一位は健康問題。もし満足に病院へ通うことができずに命を絶つとしたら、どんなにつらいことでしょうか。私は、こうした悲惨な現実を税制面から何とかできないかと考えています。

 国税庁の標本調査を基に所得階層ごとの医療費控除申告割合を調査しましたところ、所得階層で七十万円以下の方は八%、三千万円の方は四〇%と、所得に比例して医療費を多く支払っている傾向があることが分かりました。所得による格差が医療格差を生じさせるのであれば、憲法二十五条の、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有するに反することになります。そのためにも、例えば、医療費控除の十万円の壁を所得に応じて柔軟に変更すること、また、課税最低限の方には医療を受けやすくする仕組みを私は考えるべきであると思います。

 以上、反対の理由を申し述べましたが、政府の理念なき選挙目当てのばらまき政策は、巨額の借金を後世に残すだけになります。真の景気回復につながらないことは明らかであり、私たちは断じて賛成することはできません。

 また、神奈川県が強力に推進している電気自動車普及事業のように、次世代の物づくり産業の育成に重点を置いた政策を実行しなければなりません。町じゅうのあちこちに充電用スタンドを整備するなど、政治ができることはたくさんあるのです。

 さて、民主党は、ガソリン税などの暫定税率を廃止することを始め、厳しい経営環境にある中小企業を支援するための大胆な減税、全国各地で崩壊しつつある医療の再生、激務に耐えて働き続ける介護従事者への支援、月額二万六千円の子ども手当で子育て環境を充実、カロリーベースで四〇%に落ち込んだ食料自給率の抜本的な見直しのための農業の戸別所得補償制度、そして、既に私たちは参議院で可決し衆議院に送付していますが、租特透明化法案など、具体的な政策をきちんと提案しています。いつでも政権を担当できます。

 それに比べ、アニメの殿堂は安倍内閣時代からの構想だと言いながら緊急経済対策として補正予算に入れたのはどなたでしょうか。アニメの殿堂は緊急経済対策だった、是か非か。分かりやすい例として衆議院選挙で必ず問われます。

 一番政治の力を必要としている人はだれなのか、今の政府・与党は、この法律案が示すように全くもって分かっていません。もうばらまきはやめてください。天下りもやめてください。

 苦しんでいる人を助けたい、最も苦しんでいる人を助けるのが政治の仕事です。そのためには、一刻も早い解散・総選挙を行い、国民の信を問うべきであることを再度強く申し上げ、私の反対討論とさせていただきます。(拍手)