少子高齢化・共生社会に関する調査会の質疑録です。

少子高齢化・共生社会に関する調査会 2010.2.24
少子高齢調査会 牧山ひろえ
○牧山ひろえ君

私は、神奈川県の参議院議員の牧山ひろえと申します。

 今日は、西郷先生、駒崎先生、中村先生の非常に参考になるお話、ありがとうございます。
 私は駒崎先生にいろいろ伺いたいと思います。
 先ほどから何度か駒崎先生の方からNPOに対する寄附の寄附控除についてお話があったので、非常にうれしく思いました。実は私、昨年まで財政金融委員会に所属しておりまして、私はアメリカに長く住んでおりましたので、寄附、寄附控除といえば一セントから寄附控除になる。
 それとあと、日本は今二月の時点で百十一団体しか認定されておりませんけれども、アメリカでは百十三万団体、もう全然けた違いの団体が寄附控除の対象になっているという、それを私は取り上げさせていただきまして、もう何度も野党時代から、是非控除の対象になる団体を増やしていってほしいと、伝統文化の継承という意味からも。
 例えば、アメリカではメトロポリタン・オペラへの寄附なんかも控除になると。先ほど先生はスポーツのお話をしていらっしゃいましたけれども、とにかくいろんな選択を納税者に与えて、そして本当に納得がいく形で、また少額の寄附でも認めていただける。
 だれでも、一セント、一円まで行けるかどうか分かりませんけれども、今五千円の壁がありますから、とにかくそれを千円、二千円のレベルまでまず落としていって、だれでも気軽に自分が好きな団体に寄附できる、そういう仕組みを私もかねてからつくりたいと思っておりましたので、引き続きそれは頑張りたいと思います。
 さて、質問ですけれども、私は最近、フランスで別件で国際会議に出席してまいりました。その国際会議の後に、フランスはトータル的な子育て支援を実行しておりますし、また少子化対策で成功している国ですから、いろんな専門家の方々や議員の方々とお会いするチャンスをいただきましたので、あちらで本当に二十種類ぐらいの子育て支援について学んでまいりました。
 その中でちょっと話題になったのが保育ママのお話なんですけれども、御存じのとおりフランスでも保育ママの制度がございます。ただ、フランスの保育ママというのは、週に一、二回、預かっている子供と一緒に保育所に行ってプロの指導員から幼児教育を受けたり、また、ほかの保育ママさんが合同で、どこか公の施設で一同に合同保育を行ったり、それが保育ママ同士の意見交換の場になったり、リフレッシュになったり、子供同士の交流、保育士同士の交流の場になっているということを学びました。
 先生、先ほどおうち保育園のお話を御提案されていらっしゃいましたけれども、おうち保育園の場合、このような週に一回ぐらいのペースで合同保育や合同勉強会を開くことについてはお考えでしょうか。それと、日本の今の現状において、そういうことが現実的に可能なのかどうか。また、駒崎先生が運営されていらっしゃるフローレンスでは、スタッフを教育、研修する際にどのような点に最も重点を置かれていらっしゃるのでしょうか。

○参考人(駒崎弘樹君) 非常に専門的なすばらしい御質問、どうもありがとうございました。

 まず、日本で今フランスみたいな保育ママが可能かどうかという質問であれば、無理です。なぜならば、日本では保育ママというのは制度化されていないからです。事業としてしか設置されてなく、また、厚労省の保育ママ事業がありつつ自治体がそれぞれ独自でやっていて、厚労省のやり方でやるとちょっと使えないよなとかって自治体が自前でやって細々やるみたいな、非常にそういう統一的な政策、保育ママに関する政策というのが欠落していますので、基本的にフランスのレベルからは乖離しております。
 実際、では、おうち保育園は何をねらいたいか。それをきちんと制度化したいということです。実験事業を行って、これできっちり待機児童を吸収できますよねということを見せて、それで、ある種、制度にはね返らすということをしたくて、まあ、わざとやっているという感じなんですね。
 おっしゃるとおり、保育ママ同士が研さんするというのは非常に重要です。孤独な保育をしていると、うっくつしたいろんなストレスがたまってきます。ですので、数年前、世田谷区で保育ママによる子供の虐待という悲しむべき事件も起こってしまいました。これは、ある種、自治体が保育ママに保育を丸投げしたことによる一種の悲しむべき事件だったのではないかなと思います。ですから、おっしゃられるとおり、きちんと保育ママ同士が情報を交換したりだとか、あるいは悩みを打ち明け合ったり、そういったようなスキームというのは是非とも必要でございます。
 フローレンスでは、基本的におうち保育園では保育者を完全に雇用しますので、基本的にその人たちにきっちり導入研修して、あるいはブラッシュアップの研修もして、悩みがあったらきちんと本部のスタッフが行って聞いてあげるというような形で、密なマネジメントを行うというようなことで保育の質というのを保っていきたいなというふうに思っております。
 また、寄附のお話等々ありましたが、是非、民主党で寄附の問題に切り込んでいっていただきたいなというふうに思います。財務省側の言い分としては税収が少なくなるじゃないかということで、寄附控除というのはなかなか認められないというところありますけれども、イギリスでも同様な問題を抱えています。だけれども、イギリスは税控除をしてNPOを育てている。
 というのは、それが合理的だから、それが、ある種、国ができないところを機動的にやってくれるから、予算が逆に節約できるんだという観点から、その寄附控除というのを大幅に認めているという考え方を是非とも御理解いただいて、この改革を一歩でも二歩でも前に進めていただきたいなというふうに思います。

○牧山ひろえ君

 時間になりましたので、ありがとうございます。