予算委員会の質疑録です。

参議院議員 牧山ひろえ 予算委員会 2010.3.5
予算委員会 牧山ひろえ
○牧山ひろえ君

よろしくお願いいたします。

 まず、平成二十二年度税制改正大綱に関して、一人オーナー会社課税制度の廃止は大変よかったと思います。いわゆるオーナー給与に係る課税の在り方について、個人事業主との課税の不均衡を是正し、二重控除の問題を解消するための抜本的措置を平成二十三年度改正で講じるとしていますので、期待したいと思います。

 この昨年末に政府が公表した平成二十二年度税制改正大綱は、公平、透明、納得をキーワードに政府の考えを国民に示したと思いますので、早速、財務大臣、この税制大綱のポイントをお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○国務大臣(菅直人君)
 今、牧山さんの方から話のありました一人オーナー会社課税制度を廃止するということもこの二十二年度の税制大綱の大きな一つの目玉でありました。

 全体を申し上げますと、鳩山政権では、支え合う社会を実現するとともに、経済・社会の構造変化に適応し、国民が信頼できる税制を構築するという観点から、税制全般にわたる改革に取り組むこととしております。

 こうした取組の第一歩として、平成二十二年度税制改正においては、所得再配分機能の回復や、控除から手当へというこの考え方の下で、子ども手当の創設と相まって年少扶養控除を廃止をいたします。国民の健康の観点を明確にしたたばこ税の税率の引上げも行うこととしております。また、新しい公共を支える市民公益税制、いわゆる寄附税制を拡充していく、そして納税者の視点に立って租税特別措置等をゼロベースで見直すとともに、租税特別措置の適用状況の透明化を行うことといたしております。

 さらには、地球環境対策の観点から、燃料課税の税負担については維持をお願いしましたけれども、車体課税のグリーン化を図る、つまりは、温暖化にプラスになるものは低い負担で、マイナスになるものにはやや負担を強くするというそういうグリーン化を図ることとしております。それに加えて、先ほど申し上げた一人オーナー会社課税制度の廃止。

 これらが二十二年度の税制大綱のポイントとなっております。

予算委員会 牧山ひろえ
○牧山ひろえ君

 中でも私は、市民公益税制について大変うれしく思います。と申しますのは、私自身、以前から、寄附金控除の適用下限額を現行の五千円から引き下げ市民活動を活性化させるべきだと主張してまいりました。今回下限額を二千円にした経緯について、峰崎副大臣、お聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○副大臣(峰崎直樹君)
 牧山委員にお答え申し上げたいと思いますが、その前に、ちょうど私は、NPO税制といいますか、NPOの議論がちょうど始まり始めたころに、牧山委員たしか三年目ですよね、当選されて、ちょうど私も三年目ぐらいから、今、自民党の加藤紘一先生とかあるいは元千葉県知事をやっておられた堂本先生などと一緒にこの問題をずっと議論してまいりまして、改めて牧山さんが今こうして新しい公共、それを更に広げていこうということで質問されていることにやや本当に感動を覚えておりまして、今総理おられますけれども、本当に新しい公共の座談会なども参加をさせていただいて、やはり新しい二十一世紀、こういうことで日本を変えていくんだなというふうに思っております。

 実は、昨年の財政金融委員会に牧山委員が、私も当時は筆頭理事だったかあるいは委員長をやっていましたでしょうか、牧山委員が当時の財務大臣に対して質問をされておりまして、その中で、たしか今打切りが五千円だったのを、今回はちょうど二千円に下げたんですが、あのときはたしか委員は千円まで下げたらどうだと、こういうお話がございました。今回、二千円というところで、もっと下げてもいいんじゃないかという声はもちろんありますが、大きく下げたというのはまさに新しい公共を広げていこうということだろうと思うんです。

予算委員会 牧山ひろえ

 ちょっと長くなりますが、私は、この新しい公共というのは、単にこれは地域社会の中で皆がつながりを持っていくということだけでなくて、そのことが実は大変経済成長にとっても非常に大きい効果を持っていると。すなわち、公共財というのがそういう信頼関係を持ってくるところは非常に安価に済んでくると、お互いに信頼関係でやっていますから。今、先ほど、金融のところなんかも、地域金融なんかで、本当に町の信金さんあるいは信組さんが本当に信頼感を持っていると、経営者との間の人間関係も信頼関係も高いと。そういうところが非常に経済にとって大きな役割も果たすという意味も込めて、大変私どもはこれをある意味では非常に重視をしていると、また、していかなきゃいけない、こういうふうに考えております。

○牧山ひろえ君

 アメリカでは一セントから控除となります。アメリカにおける寄附金控除の対象となる団体は、NPO的なものを含めて全体的で百十三万団体ございます。その一方で、日本では、認定NPO法人は百十一で、寄附金控除対象団体数は二万二千程度です。適用下限額をできれば更に下げて、だれもが認定NPOなどの市民活動に参加しやすくすることを御検討いただきたいんですが、御意見お聞かせいただければと思います。

○副大臣(峰崎直樹君)
 今現在、新しい政府税制調査会をつくりまして、その下で、私たち、新しい公共に対応する寄附金税制の在り方のプロジェクトチームを発足させました。私もメンバーなんですが、渡辺総務副大臣がキャップで、今五回にわたってもう審議をやってまいりました。

 今、牧山委員がおっしゃられたように、私たちがヒアリングをしてみて、あるいは調査をしてみて、アメリカあるいはヨーロッパの国々と比べてどうしてこんなに格差があるんだろうかと。たしか認定していただいているその寄附の控除の受けられる団体の数あるいは金額は二けたじゃなくて三けたぐらい違うんですね。それは、一つには宗教団体に対する寄附が非常にアメリカの場合多いという、あるいは教育に対する寄附も非常に大きいということで、やや日本と少し、何というんでしょうか、社会の成り立ちといいますか、あるいは社会を構成している人々の意識も違っているのかもしれませんが、ただ、私は、例の阪神・淡路大震災のときの、大変多くの市民の方々、特に若い人たちが自らボランティアではせ参じたという、あの姿を見て、これは寄附の場合にも必ずそこは多分潜在的にはあるんではないだろうかと。

 そういうものをどのように守り立てていけるのかということで今鋭意やっておりまして、実は、どうもアメリカと日本のいわゆる寄附控除を受ける受け方について、アメリカの場合は入る方が非常に優しくして、点検、チェックを非常に厳しくしていると。日本の場合は、入るところが非常に厳しくて、あとは非常に、何かそのチェックが非常に弱いという、こういうところを少し発想を変えていく必要があるんではないかということで今鋭意検討しておりますが、なかなか、これはこれで一つの制度でございますので、悪用される危険性というものをもちろん持っていますけれども、私はやはりそこは今大きな発想の転換を、これは鳩山総理の非常に強い熱意がございますし、私が先ほど申し上げましたように、この日本の社会の、市民社会の質を根本的に変えていくために非常に重要な改革の一歩になるのではないかと、このように感じております。

○牧山ひろえ君

 加えて申し上げるならば、所得税控除の対象となる認定NPO法人自体を増やさなければこの市民公益税制の普及には結び付かないということも財政金融委員会で提案させていただきました。資料一を見ていただければ、いかに我が国の寄附文化が脆弱で、市民活動を支えていないかが分かります。

 副大臣とは財政金融委員会時代からこのテーマについて議論を続けてまいりましたけれども、公益性の高い認定NPO法人を増やす取組について、ちょっと重複になりますけれども、お考えをお示しいただきたいと思います。

○副大臣(峰崎直樹君)
 まだ決定しているわけではありません、ちょうど五回にわたって今寄附金税制の審議をプロジェクトチームでやっておりまして、そうした中で、例えば認定NPO法人がいわゆる税制上の恩典が受けられるためのハードルをどのように下げていくかといういろんな様々な議論をしておりまして、例えばパブリックサポートテストというのがございまして、これはかつては三分の一の比率だったものを今度は五分の一にまで下げたんですけれども、まだやはりできないと。それはやっぱり考えてみると、寄附金控除というものを受けようとする団体が寄附金控除のウエートが低いと駄目だということになっちゃうと、どうもやはり、なかなか入口の段階から難しいんじゃないのかと。

 そういう意味で、パブリックサポートテストの仕組みそのものももう少しやはり変えていく。あるいは、認定をする際に、ほかの今もう現にあるしっかりとしたNPOが、認定を受けているNPOが、この人たちがやっているなら大丈夫だと、我々が連帯保証するよとか、そういうような様々な取組があっていいんじゃないかというような問題提起を受けておりまして、こういったことを通じながら、やはり今三万を超えてたしかNPOがあるんですけれども、その中でたしかまだ百二十前後じゃなかったかと思いますが、非常に税の恩典を受けられるものが少のうございますので、そういう意味で、発想の転換と同時に仕組みの変化、そして今年も随分変えているんですけれども、NPOの税制上の恩典を受けるための非常に様々な資料が非常に多いとか、いろんな問題点がございますので、こういったところをやっぱり簡便化していくということも努力をしている最中でございます。

○牧山ひろえ君

 アメリカでは、オペラ座などを始めとする文化的な組織も寄附金控除の対象団体となっています。

 伝統文化の継承という意味においても、日本でも例えばお相撲とか歌舞伎、詩吟、民謡などへの認定の範囲を広げてみようというお考えはございますでしょうか。

○副大臣(峰崎直樹君)
 伝統文化に対する支援をということで、実はもう既に、例えば地元にあるオーケストラとか、そういうのは団体として、例えば公益法人、社団法人とかあるいは財団法人とか、そういうものをつくって、更にその上に今度民法第三条に変わりましたから、いわゆる認定、更に税制上の優遇措置を受けられる財団法人や社団法人と、そういうところをしっかりと登録をしていただくと実はこれが非常にできやすくなるということでございますので、そういうルートに乗っけていけばいいんじゃないかという意見が、ある意味では筋の議論だろうと思います。

 その意味で、これから、そういうところに乗りにくいような地域における様々な神社仏閣を始めとする様々、宗教というのはちょっとこれまた異質なところがあるんですけれども、伝統的な文化というものに対する支援がどのようにできるかということについて、これまた我々、このPTの中で更に論議をしていきたいなというふうに思っております。

 ちなみに、お相撲さんのところはたしかこれは財団でつくっておりますし、それから歌舞伎座なんかはたしかあれは株式会社だったと思いますけれども、かなり財産といいますか、株式会社で比較的経営はうまくいっているというふうに聞いております。

 取りあえずは以上でございます。

○牧山ひろえ君

 また、スポーツへの支援も大変重要だと思いますが、スポーツに関してはいかがでしょうか。

○副大臣(峰崎直樹君)
 実は、昨日も予算委員会でスポーツ、特に櫻井委員の方からオリンピック選手を雇っている企業に対する支援をできないんだろうかというようなことがございました。

 その意味では、スポーツ団体あるいはスポーツに対して、今たしかオリンピックでメダルを取った人の賞金をどういうふうに税制上優遇措置をとれるかというようなことは議論がございました。

 ただ、スポーツ団体というふうになった場合にこれまたどういう形で、先ほどの文化とかスポーツというのはやっぱりほぼ同じような形で、一つのやはり市民運動、市民団体としてそういうものができて、そしてそれが支援できるかどうかというふうなこともまた考えてみたいと思っておりますが、これらの問題について、やはり広い意味で、これは公益といいますか、先ほど申し上げました鳩山総理の思いである新しい公共の中にどのように包み込んでいけるかということについても、これからも検討していきたいなと思っております。

○牧山ひろえ君

 命を守る、命を大切にするといったような公益性の高いNPOをどのような形で選び抜くのか、また公益性の大小をどのように判定するのか、この辺とても難しいことだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○副大臣(峰崎直樹君)
 この点がまさに一番、公益をどう認定するか、だれが認定するかということで、いわゆる第三者の公益認定委員会が実は設置をされたんですが、これが私どもに随分苦情で来るんですね、遅い。つまり、これまた社団法人とか財団法人がたしか三万近くこれもあるんです。それの認定が非常に、認定委員会が今かなり急いでおられるんだろうと思いますが、非常にある意味では遅いという苦情が来ております。

 その意味で、先ほど申し上げましたように、NPOもそうなんですけれども、そういう新しい認定の仕組みそのものもやはり非常に求めておられることがあるわけですから、それに対して、ある意味では先ほどのまず認定をして、そして問題点があればチェックをしていくというのが、先ほどはNPOに対して我々としてはしっかり取っていくべきだろうというふうにも言いましたけれども、社団法人とかやっぱり財団法人となると、ちょっとやはりいわゆる仕組み上もう少し別の角度から、たしかこれは各省庁がそういったものに対してかなり管轄をしておりますので、こういったところの在り方とも絡めて少し議論してみなきゃいけないのかな。

 これは今度の新しい公共の寄附税制のプロジェクトチームで、議論まだそこまで行っておりませんけれども、それらの課題についても引き続いて議論さしていただきたいと思っております。

○牧山ひろえ君

 では、総理にお伺いしたいと思いますが、総理の施政方針演説をお聞きし、新しい公共という言葉に非常に感銘を受けました。まさにこの寄附税制と認定NPO法人への支援は新しい公共を示すものであると確信しておりますが、御意見をお聞かせいただきたいと思います。

予算委員会 牧山ひろえ
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○内閣総理大臣(鳩山由紀夫君)
 牧山委員が新しい公共に対して大変強い御関心の中で様々御指導いただいていることを心から感謝を申し上げます。今私がお話を伺いながら、牧山委員のおっしゃっている方向に更に加速をさして結論を出していきたいと思っております。

 私が会議の中で申し上げたのは三つあります。一つは寄附税制における税額控除、これの導入をしてほしいということでございます。ある意味で国民の皆さんが、どうせという言い方はないかもしれませんが、国にあるいは地方自治体にこれだけ税金を納めるんであれば、その一部を、例えば一万円でも二万円でもこういった活動に使ってくれということができるような、より自由にできるようなシステムをつくれということが一つでございます。

 それから、NPO法人など、御案内のとおり認定されているものが極めて限られている。この公益の認定を更に格段に広げていかなけりゃ意味がないではないかと。せっかく寄附税制を充実させても、適用される認定NPO法人が少なければ何の御利益もないぞということで、これを格段に広げるべきだということでございます。

 あと、NPOの皆さん方の活動というものがより自由にしていくためには、小規模の金融の在り方というものも拡充させるべきではないかと。

 この三点に関して早急に議論を深めて結論を出してほしいということでございまして、五月末までにということで進めておりましたけれども、今日も牧山委員からも強い大変思いを聞かせていただきましたので、更に加速をさして結論を出すようにいたさせます。

○牧山ひろえ君

 もう一点、峰崎副大臣にお聞きしたいと思います。

 医療費控除の適用下限額十万円について、私は、所得に応じて下限額を段階的に設定すべきであると考えます。先日も日経新聞に書いてありましたけれども、昨今の経済情勢から収入が激減し、病気やけがを我慢して病院に行けない方が大勢いらっしゃると書いてありました。そうした中、医療費控除としてある程度負担が軽減されるのであれば病院に行ってみようかという方も増えるんではないかと思います。

 峰崎副大臣、この適用下限額に関して、何か御意見などございましたらお聞かせいただきたいと思います。

○副大臣(峰崎直樹君)
 お答えいたします。

 これはかなり歴史がございまして、この医療費控除というのは元々、本来はもう生計費の一部である医療費について事前に予期しにくい中で支出を余儀なくされると、こういう性格を踏まえまして、一般的な家計負担の水準を上回って支出する場合の担税力の減殺をしんしゃくする制度と、これやや難しい表現ですが、こういうことで設けられているわけでございます。

 このような制度の趣旨に基づいて、平均的な医療費負担の水準を考慮して、支払った医療費のうち十万円を超える部分の金額を控除対象としているんですが、実は今おっしゃられたように、低額の所得者に対しては、総所得が二百万円未満の場合には適用下限額は総所得の五%と。例えば、百五十万円の方であれば五%、七万五千円とか、そういうふうに所得に応じてそれを切り下げる、つまりもっと下がっていくと、こういう仕組みで、実は医療費が十万円以下の場合でも医療費控除の適用を受けられる、低所得者にも配慮した仕組みにはしているところでございます。

 それでもまだ不十分だという御指摘はあるかもしれませんけれども、もし更に必要な改革をすべき点があれば、今後我々としても検討していきたいと思いますが、今の現行制度の中でもそういうふうにちょうど、二百万円以下の所得の人になると五%、所得の五%と、先ほど言ったように、百万円の所得の人であれば五万円というようなところが下限になりますので、それだけ救われているというところに着目をしているわけでございます。

○牧山ひろえ君

 これは幾つか私からのお願いなんですが、この医療費控除の適用下限額の議論のほかに何か良い方法などございましたら、財務省と厚生労働省の垣根を越えて良いアイデアを考えていただきたいなと思っております。  また、寄附金控除の適用下限額を二千円にすることについて異論を唱える方はいらっしゃらないと思います。政府におかれましては、官邸や国税庁のホームページなどを利用して、寄附金控除についての説明や、また認定NPO法人自体のURLなどを張るなど、広く国民に宣伝していただきたいなと、それを御検討いただきたいなと思います。また、こういう御時世だからこそ、多くの苦しんでいる人たちを助けようとするNPOたくさんございます。そういったところに、そういったNPOの方々に光を当てていただきたいなと思います。

 さて、ちょっと話題を変えて、民主党政権が発足して最初の診療報酬改定は久しぶりの改定率引上げとなり、救急、産科、小児科、外科に手厚い内容になっております。昨今の医療崩壊を食い止める第一歩であると考えますが、足立政務官、御所見をいただきたいと思います。

○大臣政務官(足立信也君)
 医療崩壊という言葉、今お使いになられましたけれども、我々民主党は今がけっ縁で頑張っていると、がけっ縁という表現を四年前から政策をまとめる段階で使わせていただいております。その中で、なぜがけっ縁に追い込まれてしまったか。これ、診療報酬、前の話でちょっと申し訳ありませんですが、私は、医療従事者を削減することによって医療費を抑制しようという、このことが一つのポイント、二つ目のポイントが、医療を提供する側と受ける側の情報の量の差、そしてその理解、つまりリテラシーの格差、この二つが大きな要因であろうと、そのように考えております。

 そんな中で、今回の診療報酬改定、これは、診療報酬というものはどういうものなのかということをまず御説明いたします。これは、診療報酬本体とそれから薬価と、材料も含めた薬価というふうに分かれております。

 薬価の部分、材料費の部分は、公定価格と実勢価格のその差、薬価差益、これをなくすためにその分をマイナスにするという。それから、診療報酬本体というものはどういうものか。これは技術料、判断料、管理料、入っております。ですから、その中でどのような診療報酬本体の改定をやったら、プラスにしたらそれがそのまま医療費が増えるというものではございません。なぜかと申しますと、その診療報酬本体に上げる部分で効率化を図る部分もあるわけでございます。ということは、それが果たされれば医療費は抑制につながる部分もございます。というふうに、パラレルではないということをまず前提として考えていただきたい。

 そんな中で、薬価差益の方は五千億円分に相当する部分を削減いたしました。そして、診療報酬本体に五千七百億円に相当する部分、これネットでプラス〇・一九ということでございますが、そういう報酬本体のアップ、そして全体のアップをさせていただきました。

 この中の特徴は、先ほど申し上げましたように、救急や産科、小児、外科等の医療の再建、それから病院勤務医の負担の軽減、そして医療連携の推進、そして後方支援病院と、急性期だけを高めても後方支援病院がしっかりできなければなりません。その部分のアップということ等にめり張りを付けた報酬改定になっていると、そのように思います。

○牧山ひろえ君

 実はこの救急、産科、小児科、外科への重点配分については、私自身かねてから主張し続けてきましたので、率直に申し上げて本当にうれしく思います。

 この重点配分をきっかけに、今後、政府としてはどのように崩壊しつつある医療の起死回生を図ろうとしているのか、是非御意見をお聞かせいただきたいと思います。

○大臣政務官(足立信也君)
 まとめてお答えするのが非常に難しい大きなテーマでございますが、先ほど私ががけっ縁に追い込まれた理由は何かと二点申し上げました。これを着実にやっていかなければいけないと思っております。  文科省と協力しながら、まず医師数につきましては、養成と確保という考え方、活用という考え方を考えております。

 まず養成の部分で、今までで最も多く八千八百四十六名という定員に、これは前舛添大臣のころから取り組まれていることでございますけれども、それをさせていただきました。あとは活用の部分で、いかに地域偏在をなくして、そしてしっかりした連携を組んでいけるのか、そのことが極めて大事なことでございます。これは診療科ごとのインセンティブを高めるということでもございますし、連携を促進するというようなネットワークの取組。

 そして、これも前大臣が取り組まれたことでありますけれども、チーム医療をいかに推進していくのか、その役割をしっかり見直す必要があるというようなことも含めながら、現在は診療報酬でまず医療費はこのように確保しよう、次にやるべきは人を増やそう、そしてそれをうまく活用できるようにしよう。  そんな中で、新年度から、全国の地域にどれだけの診療科のドクターがどれだけ必要なのかという全国調査を行います。そして、今、短時間も含め、どれだけの方が働いていらっしゃるのか、それも全部調べようと思います。そして医師確保策を徹底していきたいと思っています。

 今回の診療報酬改定の中でも一部入りましたが、先ほどの原因の二番目のことでございます。透明化する、情報を共有する、そして今の事態を皆さんが、国民全員がその状況を把握していただくということの中で明細書の発行を今回させていただきました。このことは説明が求められることだと思いますけれども、理解が深まり、問題点を共有される大切な一歩だと私は考えております。

○牧山ひろえ君

 続いて、羽田空港の国際化と港湾についてお伺いしたいと思います。

 羽田空港の四本目の滑走路が十月から供用を開始します。我が国の国際競争力を高める切り札として多くの方が期待していると思います。一方で、諸外国では既に空港、港湾の整備が終わり、配付資料二のとおり、とてつもない国際競争力で日本を圧倒しております。

 なぜこのようになったのか、また今後どのようにして日本の国際競争力を高めていくのか、その方向性などお聞かせいただければと思います。長安政務官、よろしくお願いいたします。

○大臣政務官(長安豊君)
 牧山委員に御説明申し上げます。

 今委員が御指摘ございましたように、アジア諸国の急激な経済発展に伴いまして、またさらには、こういったアジア諸国では空港、港湾といった施設が次々と整備をされております。そういう中で競争が年々激しくなっているのは御存じのとおりであります。そういう中で、やはり日本においても首都圏空港というものをしっかりと機能強化をしなければならない、また港湾機能も強化しなければならないということを考えているわけであります。

 具体的には、今委員が御指摘ございましたように、羽田空港のD滑走路、Dランがこの十月にオープンするわけであります。これを契機に二十四時間国際拠点空港化をしていくということを進めていかなければならないと考えております。またさらには、コンテナ、バルクの貨物につきましては、現在の日本が細長い地形にあります、そういう中にあって貨物が分散している、そういったものをしっかりと国内フィーダーを充実させることによって集めていく、こうすることによって日本の港湾の国際競争力を高めていかなければということを考えているわけであります。

 具体的には今申し上げた内容でございますけれども、国土交通省におきましては、昨年の鳩山内閣発足後に国土交通省成長戦略会議を設立しまして、その中において、空港、港湾、こういった分野についても議論を進めている最中でございます。この六月をめどに結論を出すところでございまして、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

○牧山ひろえ君

 続いて、配付資料三を御覧ください。横浜市では羽田国際化に伴う経済波及効果について委託調査を行いました。その結果、年間百九十一億円の経済波及効果と千七百人に及ぶ雇用誘発効果があると発表いたしました。このように、周辺自治体では羽田国際化に大きな期待を寄せており、なお一層の国際化を望む声が多くあります。

 約十一万回の発着枠増加分のうち、国内が二・七万回、国際が三万回を割り振り済みですが、残りの約五万回を積極的に国際線に割り振るべきとの意見が各方面から聞かれております。

 私はかねてから神奈川口構想の早期実現を主張してまいりましたけれども、やっと去年の十二月、羽田空港臨空都市懇談会が開催されるなど、一歩前進したかと思うところです。この神奈川口構想の実現は利便性を望む多くの方々の悲願です。是非、国が主体となって臨空都市懇談会の第二回をなるべく早く開催することなど前向きな御答弁をいただきたいと思います。

○大臣政務官(長安豊君)
 お答えいたします。

 羽田空港の二十四時間化、これも重要な課題でございます。今委員御指摘にございましたように、昼間の三万回、夜の三万回がまずは発着枠として増えるわけでございます。後の増える発着回数約五万回強ございますけれども、これにつきましても、今後、国内、国際線の需要の伸びをしっかりと見ながら、日本の競争力を高めるという観点に立ちながらしっかりと検討をしてまいりたいと考えております。

 また、神奈川口構想についてでございますけれども、今御指摘にございましたように、昨年の十二月に羽田空港臨空都市懇談会を設置したところでございます。この懇談会を通して、これからも空港周辺自治体の皆さんの意見を賜りながら引き続き検討をしてまいりたいと考えておるところでございます。

○牧山ひろえ君

 羽田空港の国際化に合わせ、これまでスポットライトを浴びることがなかった小さな町の秘湯や歴史的な史跡など、隠れた観光資源を外国人観光客に積極的に紹介していくチャンスであると思います。例えば神奈川県には、横浜、鎌倉、箱根、湘南、三浦など代表的な観光地がある一方で、大磯、二宮などの景勝地、足柄、津久井の自然など、知名度は高くないけれども優れた観光地がございます。こうした活性化を必要としている小さな町の魅力をいかにして外国人観光客に知ってもらい訪問していただくか、これが大きな課題であると思います。

 さて、次に、母子手帳プロジェクトについてお伺いしたいと思います。

 昨年九月、総理が国連総会で演説をされ、友愛精神に基づき平和構築、開発、貧困の分野でも世界の架け橋になるとして、TICADプロセスの維持、そしてアフリカ支援の強化を表明されたこと、私は心から感動いたしました。私は、日本発祥の母子健康手帳をアフリカに広め、そして母子保健の向上を図りたいと主張してまいりましたけれども、世界の命を守るという総理のお考えに大変共感しております。

 総理、この母子健康手帳を広めることに御賛同いただけますでしょうか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

○内閣総理大臣(鳩山由紀夫君)
 母子健康手帳、大変私は優れた制度だと、そのように思っております。もう既にパレスチナの方々には日本のこのシステムというものの導入を図っているところでございまして、これからアフリカにも適用を進めてまいりたい、そのように基本的に考えております。

 ただ、牧山委員御案内のとおり、アフリカの皆さん方、日本の皆さんと若干違うところは、例えば識字率、母親、父親の識字率、必ずしも高くない地域もございます。また、保健所のようなところが整備されていない地域もまだ相当ございます。さらには、人材というもの、お医者さんも含めてでありますけれども、保健医療従事者の育成というものがまだまだ不十分なところもございます。

 したがいまして、こういったところの整備というものを先に進めてから導入いたしませんとなかなか功を奏さないのではないかと、そのように考えておりまして、まずはTICADWなどで表明したような、これは千か所の保健医療施設の改善とかあるいは十万人の人材育成とか、こういったことを先行させていただきながら、ある意味でその基盤整備というものが整いつつある中で母子健康手帳というものの推進を図ってまいりたいと、私どもはそのように考えております。

○牧山ひろえ君

 私は、母子手帳に関して外交防衛委員会やODA特別委員会の場などで繰り返し必要性を説明しています。例えば、JICAがパレスチナにおいて母子手帳、二〇〇八年に十二万冊配付して事業を展開しておりますけれども、その結果、パレスチナの母子保健が大幅に向上した事例がございます。母子手帳を世界に広める活動に是非お力添えをいただければと思います。

 先ほど総理がおっしゃっていたように、やはりインフラ整備ができていないといけないというお話でしたけれども、この母子手帳プロジェクトをまずは社会的なインフラ制度が最低限そろっている例えばチュニジアですとかモロッコなどに普及させ、順次各国に展開していけないかと考えております。母子保健向上のためにこうした取組をしてみるべきだと思いますが、福山外務副大臣、いかがでしょうか。

予算委員会 牧山ひろえ

○副大臣(福山哲郎君)
 牧山委員におかれましては、母子健康手帳の世界への普及に対しまして本当にいつもお力添えをいただいて、ありがとうございます。

 もう今総理からも御答弁がありましたように、母子健康手帳は、母親の知識を高めること、それから母子の健康履歴が残ることによって乳幼児やそれから妊産婦のその後の健康管理に非常に役に立つこと等がありまして、我々としても普及拡大に努めたいというふうに思っております。

 ただ、総理が御答弁ありましたように、なかなかやはり社会インフラが整わないことには手帳だけを配ってもいけないということで、現状では、セネガルで総合的な保健システム強化プログラムの中でこの母子健康手帳を位置付けております。今、牧山委員が御提案のありましたチュニジア等の国においても、我々としても現地の状況を把握しながら対応させていただきたいというふうに思います。

○牧山ひろえ君

 せっかく福島大臣がお見えですから、子育て経験者の福島大臣に、母子手帳について何かエピソードなどがございましたら、お伺いしたいと思います。

○国務大臣(福島みずほ君)
 母子手帳は、子供が生まれたときの体重、身長など書いてありますし、グラフでかいたりすることができますので、子供が大きくなったときに一緒に見たりするととても楽しいですし、それから実は、赤ん坊だった娘が母子手帳に落書きをしまして、それも今となってはすごく懐かしい思い出となっております。

 母子手帳は、子供が生まれる前も、生まれたときも、生まれた後も予防接種やいろんなことも含めて、備忘録としても非常にいいもので、子供の成長が一覧性で分かるもので、日本の中の母子手帳の制度は優れたものだと思っております。

○牧山ひろえ君

 一月下旬、私はフランス国内でフランスの少子化対策の調査を行ってまいりました。福島大臣も私の直前に行かれたと伺っております。まさに、フランスでは多種多様な少子化対策、子育て支援のメニューが豊富だと感じました。重立った支援策だけでも約二十種類に上ると聞いております。

 例えば、ベビーシッター費用が税制優遇の対象になること、また子供が多い世帯ほど有利なN分N乗方式を採用した税体系であること、また幼稚園から大学まで教育が無料になること、また幼稚園が保育園並みに子供を長時間預かってくださり、午前午後三時間ずつ教育をしっかりと設けていることなど、合計特殊出生率が二を超えるのもうなずけるなとつくづく実感いたしました。

 日本でも見習うところが多数あると思うんですけれども、福島大臣、御意見お聞かせいただければと思います。

予算委員会 牧山ひろえ

○国務大臣(福島みずほ君)
 牧山議員、本当にありがとうございます。  私もフランスに行きまして、家族的保育所、集団的保育所などを見ました。家族的保育所ですと、保育ママさんたちが子供を二、三人ずつ連れてきて、保育ママさんも支援することができますし、子供たちにとっても非常にいい制度で、今おっしゃったたくさんの、二十種類ぐらいの様々なメニューを持って子育てを応援していると思います。やはりポイントは、こういう子供に対してお金を使っていることだと思います。

 日本における旧政権下、二〇〇五年GDP比で、日本は子供に対しては家族関係社会支出が〇・八一%、フランス三・〇二で、日本はやっぱり三分の一だったんですね。ですから、やはり家族関係社会支出の金額を大きくすることが日本でも必要だと思います。政権交代してその方向になっていると思います。  またフランスは、全国家族手当金庫があって、子育て支援に係る財源を一元的に管理しています。子ども手当も保育所もこの中に入っていると。運営は労使を含めた関係者が参加する歳入の六〇%は事業主の負担、全部で七兆円以上あります。ですから、日本の人口比ですと十兆円以上のこれは金額になりますので、うらやましいというか、日本もまねをしたいと思いますが、全国家族手当金庫など、子育て支援を社会の中でみんなでやっていくことを打ち出している点が学べると思います。

 これに学んで、子ども・子育てビジョンを一月末に発表をいたしました。総合的なパッケージとして子育て支援をやってまいります。

○牧山ひろえ君

 では、総理にお伺いします。

 子ども手当法案が衆議院で審議中です。日本では初めての試みとなりますが、フランスでの視察を振り返ると大変意義のある政策であると思います。子ども手当をきっかけに幼保一体化の議論が正式に始まるなど、少子化対策に本腰を入れていく姿勢が見て取れます。

 今後の方向性などを含め、少子化対策全般について総理のお考えをお聞かせいただき、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○内閣総理大臣(鳩山由紀夫君)
 牧山委員にお答えさせていただきます。  牧山委員を始め、民主党あるいは新政権には女性議員が数多く活躍をしております。少子化対策あるいは男女共同参画社会、こういったものの実現に向けてこの政権は最大の力を発揮してまいることができると、そのように考えております。

 今フランスに視察に行かれたということでございます。その知見などもまた教えていただきたいと思っておりますが、子ども手当はその一つではないかと思っております。子ども手当の充実、さらには幼保一体化、さらに、先ほどビジョンの話がございましたけれども、保育に関しての毎年五万人と、これは待機児童の解消に向けてサービスを拡充さしていくというようなことも決めているところでございまして、一体となってこの問題、少子化対策には大いに大きな力を入れて解決に向けて努力をしていくことをお約束をいたします。

○牧山ひろえ君

ありがとうございました、終わります。