内閣委員会の質疑録です。

参議院議員 牧山ひろえ 内閣委員会 2010.10.21
内閣委員会 牧山ひろえ
○牧山ひろえ君

民主党の牧山ひろえです。よろしくお願いいたします。  
まず、NPOに関する質問についてお尋ねしたいと思います。
まずは玄葉大臣にお尋ねしたいと思いますが、多くのNPO法人の皆さんが現在あらゆる場面で苦しんでいる人のために、また地域のために御尽力をいただいているかと思います。皆さんを支援するに当たり、今までよりもっとたくさんの寄附が集まるように、寄附控除の対象となる認定NPO法人になることへの後押しがとても重要だと思います。
そういった観点から、NPOの活動目的や活動報告のホームページの公開を促すことによって、認定NPOの要件でもありますPST、パブリックサポートテストをクリアすることが可能になるのではないでしょうか。玄葉大臣に御所見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

○国務大臣(玄葉光一郎君)

牧山委員がおっしゃるとおりだというふうに思います。
言うまでもないことでありますけれども、NPOのこの特定非営利活動法人制度、これは言わば情報公開を通じた市民による選択、監視を前提とした制度でございます。したがって、特定非営利活動法人は毎事業年度ごとに事業報告書等を作成をし、所轄庁への提出が義務付けられており、各所轄庁ではホームページ等でこの事業報告書等を閲覧に供しているところでございます。
実際のところ、ホームページを開設している法人もありますけど、そうじゃないという法人もありますね。ですから、牧山委員おっしゃったとおり、これからのありようを考えれば、すべてのNPO法人がホームページでその事業を公開をするということを期待をしたいというふうに考えております。

○牧山ひろえ君

ありがとうございます。
公益法人、つまり学校法人、社会福祉法人、更生保護法人、社会医療法人などや認定NPOは納税者の権利にかかわる団体だと思いますので、その活動目的や活動報告を国税庁で公開することを義務付ける必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。国税庁の方、よろしくお願いします。

○副大臣(五十嵐文彦君)私の方からお答えをいたします。

国税庁としても、今、ホームページの中で認定NPO法人名簿を掲載をしておりまして、昨年五月からは、牧山委員の御指摘等もありまして、定款の中の目的という項目も付け加えて新たにホームページで公開をするようにということをしております。
ただ、国税庁ホームページとリンクをするという話が以前にも委員からあったかと思いますが、これは、ホームページを持っていない認定NPO法人もある、あるいはバナー広告をされているというところがあって難しい面があるかなというふうには思っております。

○牧山ひろえ君

彼らを応援する意味でも、彼らの活動の公開は賛同する方々からの寄附を促す効果もあろうかと思いますし、また、活動の公開は制度の悪用の防止にもつながるかと思います。
アメリカの場合を見ますと、一般のNPOと寄附控除の対象となる団体とでは認定要件が違います。寄附金控除の対象となる団体は、団体の過去、そして現在の活動、また次年度以降の活動の予定を申請書に記載する義務がありまして、活動報告をホームページに公開する法的義務がございます。またその一方で、ガイドスターと呼ばれるインターネットによるNPO法人検索サイトや評価機関のホームページが存在しております。その評価結果やその基準を満たしたNPOを確認することが可能となっております。
日本においても、公益法人や認定NPOは、その活動の目的、過去、現在、将来の活動を納税者に知らせる義務があるのではないでしょうか。公益性を高めるためにも、国税庁による公益法人や認定NPOによる活動や会計の公開、特に国税庁のホームページで公開は必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○副大臣(五十嵐文彦君)今、税務署に対する閲覧請求によって把握できるようにもなっております。あるいは、先ほど申しましたように、目的を含めたホームページでの一定の公開もいたしておりますけれども、委員の御指摘を踏まえて、更に寄附者の利便性を考えるという観点からどのような方法が取れるか検討してまいりたいと思います。

○牧山ひろえ君

ありがとうございます。
次に、羽田空港の周辺の話題に移りたいと思います。
羽田空港では、四番目の滑走路や国際線ターミナルなどの整備が進められ、いよいよ本日から利用が始まりました。これによって、国内各地や海外との間で人や物、また情報の交流が一層活発化することが期待されています。航空発着回数が、年間約三十万回から供用開始時には約三十七万回、また最終的に約四十五万回と飛躍的に増加する中で、国際線は定期旅客便が就航し、アジアの都市を始め、ロサンゼルス、パリなど世界の主要都市と結ばれ、最終的に九万回に拡充される予定です。
このような羽田空港の再拡張、国際化によって、アジア、北米、ヨーロッパなどの世界の国々を始め、国内外の人や物、情報の交流が活発になり、そしてビジネスチャンスは増えることであろうと思いますし、また国際会議などのコンベンションも増えることになろうと思います。この羽田空港国際化による経済効果を最大限生かせるような政策、制度改革を是非行っていただきたいし、また国際競争に勝てるハブ空港の構築を考えていきたいと思います。
空港を核にして国際競争力を高めるために、戦略的な整備をしている国は少なくありません。配付資料を御覧ください。
一枚目と二枚目、これは川崎市の殿町三丁目地区に関する報告書によるものでございます。  ここにありますとおり、例えば韓国の仁川、また二枚目のシンガポールのチャンギ空港の例がありますが、つまり、ハブ空港になるためいろいろな優遇措置をしています。
韓国の仁川空港は、年間発着回数は二十一・三万回、二〇〇三年に、空港がある永宗地区、青蘿地区、松島地区の三つの地域が経済自由区域に指定され、現在も開発が行われております。韓国政府は、北東アジアの物流、国際ビジネス、国際金融のハブを目指した複合的な開発を推進しているそうです。
もう一つのシンガポールではチャンギ空港ですが、ここでは年間発着回数二十二・三万回、多数の航空業界の賞を受賞して、世界一のサービスと設備と言われ、大変評判のいい空港として有名でございます。また、人口が少ないにもかかわらず、東南アジアのハブ空港でもあります。
単に広いですとかきれいだということだけではなくて、機能的で使いやすくて、便利で快適で、サービスが充実しているということで大変人気を呼んでおります。この中には、無料の映画館ですとか市内観光ツアーなどが利用できるそうです。また、空港施設内のプールやジャグジーなどが格安で利用できるそうです。ちょっと読んだお話、聞いたお話によりますと、週末には、どう見ても旅行に行きそうもないような手ぶらのカップルですとか御家族の方々がたくさんいらっしゃるそうです。レジャー施設のように空港を利用している空ナカビジネスに成功しているそうです。
そこで、国土交通省にお聞きしますけれども、このような例にありますように、我が国の国際競争力の強化につなげる戦略が日本でも必要になると思いますが、現在どのような戦略を立て、またどのような取組をお考えなのか、御予定なのか、お答えいただきたいと思います。

○大臣政務官(小泉俊明君)羽田空港の、御指摘のように、国際ターミナルが供用開始されることになりました。これに相まって、今国土交通省におきましては、国際会議の誘致促進というのを積極的に進める働き、動きをしております。

これ、御案内のように、国際会議は海外からたくさんの参加者が訪れます。そして、特に地域経済に大変大きな波及効を持っております。一例を挙げますと、大阪で開催予定であります国際青年会議所世界会議では、約一・五万人の来場が見込まれ、そして四十二兆円の経済的波及効があると試算をされております。また、開催都市の国際的知名度がアップするなど、大きな経済的波及効が、様々な波及効があると言われております。
このため、今世界各国は官民挙げて誘致競争を展開しているところでありますが、我が国の現状を申し上げますと、これ今国際会議の開催数では、日本はアメリカ、シンガポール、フランス、ドイツに続いて世界第五位であります。我が国におきましても、この激化する国際会議の誘致競争に対応するため、様々なチャンネルを通じまして国際会議の誘致策を積極的に今推進をしているところであります。
今般、羽田空港新国際ターミナルの供用に当たりまして、新しく路線が開設されました。これまでソウル、北京、上海、香港の四都市であったものが合計十一か国十七都市となる見込みでありまして、羽田空港と結ばれる都市からは東京、横浜等へのアクセスについて格段の改善が図られることになった結果、より一層の国際会議の誘致が期待されるところであります。
今後、この利便性が大きく拡大しましたことをアピールし、海外からの国際会議の誘致を積極的に働きかけてまいりたいと思っております。

○牧山ひろえ君

周辺地域の特徴、機能や可能性を最大限に生かして、国際都市としての発展を戦略的に考えていく必要があると思います。

経済産業省は、産業構造ビジョン二〇一〇の中において、日本のアジア拠点化総合戦略と題し、五つの必要性を訴えています。
一番は、海外からの高付加価値機能の呼び込みのためのインセンティブ、二番目はグローバル高度人材の呼び込み、育成、三つ目は輸送・物流関連の制度改善、インフラ強化、四番目が租税条約ネットワークの拡充、五番目は戦略拠点など、こういった必要性を訴えております。
今回、羽田空港国際ターミナルが開始されるに当たり、外資系を含むあらゆる企業の誘致を戦略的かつ重点的に呼び込み、日本のアジア拠点化を推進するためにどのような取組をされておられるのか、経済産業省にもお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

○政府参考人(厚木進君)

近隣諸国との企業誘致競争に勝つために、研究開発の質や外国人の生活環境などの日本の強みを生かし、グローバル企業のアジア統括拠点や研究開発拠点を海外から呼び込むべく、強力なインセンティブを検討しているところでございます。
具体的には、高付加価値拠点設立を促す立地補助金、税制措置、それから入国手続の円滑化等のインセンティブ措置が有効と考えております。十月八日に閣議決定されました、補正予算を含む経済対策、ステップ2の円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策におきましても、アジア拠点化に向けた支援措置の必要性が明記されたところでございます。また、世界水準の事業環境を整備するため、日本の立地競争力強化のための法人実効税率五%引下げ等の横断的な事業環境整備も必要と考えております。

○牧山ひろえ君

ありがとうございます。
では、観光庁にお聞きしますが、国際会議の誘致を促進するための施策として具体的に現在何を行っているのでしょうか。

○大臣政務官(小泉俊明君) 先ほどちょっと質問を間違えまして、答弁をさせていただきましたですけれども、国際会議、先ほど申し上げました大変大きな経済的効果、特に地域経済に対する波及効が大変大きいものがありますので、国土交通省といたしましては、羽田の新国際航空ターミナルの供用開始に向けて、先ほど申し上げましたように、これまで四都市であったものが十七都市に広がるわけでありまして、この利便性が非常に高まったということを最大限に海外等に、国際会議主催者にアピールすることにより、より積極的に国際会議を誘致するように全力を挙げるところであります。

○牧山ひろえ君

また、八月に京浜港が国際戦略コンテナ港湾に選ばれましたことは皆様御承知のとおりだと思います。このことと、今回の羽田空港再拡張化を機に、臨海部地域の、地域内のアクセス、また交通の利便性を最大限に考えていくことが重要だと考えますが、いかがでしょうか。

○大臣政務官(小泉俊明君)

空港、例えば仁川もそうでございますが、海外の航空と港湾が一体化していろんな整備を進めておりまして、我が国におきましても、空港の整備と港湾の整備、そしてまた道路整備等も一体化して進めるように進めてまいる所存でございます。

○牧山ひろえ君

地域の活性化という観点から見ると、この点につきまして片山大臣はいかがでしょうか。

○国務大臣(片山善博君)

仁川に行きますと、国際空港を開設するに当たり、広大な干潟の埋立地を活用した新しい都市、特に国際金融とか国際ビジネスとか、そういうものも誘致するとか、レジャーとか文化とか、そんなものをやっておりまして、非常に感銘を受けたところであります。
羽田の場合は少し仁川の場合とは違いますけれども、しかし、国際路線網を拡充するということは大きな、その地域にとっても飛躍のチャンスだと思います。是非、関係の地域においては、いろんなアイデアを出して努力をしていただきたい。それを政府としては応援したいと思います。
 具体的には、六月に政府の経済成長戦略、成長戦略の中に国際戦略をにらんだ総合特区というものを位置付けております。これはまだ制度化されておりませんけれども、各方面から御提案をいただいて、これをできるだけ早く制度、制度創設につなげていきたいと思っておりまして、それができますと、例えば規制緩和でありますとか税制上の優遇とか金融とか、いろんな財政上も含めて支援ができますので、関係地域と政府とが一体となって国際的な広がりをにらんだ地域づくりができるものと思っております。そのために努力をしていきたいと思います。

○牧山ひろえ君

ちょっと重複になってしまうかもしれないんですが、羽田空港周辺の地域とのアクセスの利便性の向上についてはいかがでしょうか。

○委員長(松井孝治君)どなたに。片山大臣ですか。

○牧山ひろえ君

はい、片山大臣に。

○国務大臣(片山善博君)

それは、先ほど国土交通省からもうお話、御答弁ありましたし、それから、これからも恐らく地域からも地域づくりの過程でいろんな要望とか出てくると思いますので、是非国土交通省の方でそれはくみ取っていただいて、それを具体化していただければと思っております。

○牧山ひろえ君

我が国の国際競争力を強化する上では、国際的なゲートウエーとなる羽田空港と近接し、高い経済成長を続けているアジア諸国を始め世界各国との連携や技術移転をするための土壌が整っている京浜臨海部に国内はもとより海外の投資を呼び込む施策が必要であると思いますけれども、その辺りについての認識はいかがでしょうか、片山大臣。

○国務大臣(片山善博君)ちょっと総務省の所管と必ずしも一致しませんので、総務省の所管としましては、先ほど申しました自治体との連携というのがありますし、それからICTというものをこの中にどう位置付けていくかというその問題意識は持っておりますが、今おっしゃった御質問は全体としては別の官庁の方がよろしいのではないかと思います。

○大臣政務官(小泉俊明君)

この度、京浜港が国際コンテナ戦略港湾に選ばれたわけでありますけれども、国土交通省といたしまして、この国際コンテナ戦略港湾におきましては、ハブ機能を強化するためにインフラの整備や港湾経営の民営化など総合的な対策を推進することとしております。
まず法的対応に関しましては、公的民営の考え方の下、港湾の経営に関する業務に民の視点を取り込み、港湾の一体的経営を実現するために港湾経営会社という制度を創設するなど、次期通常国会に港湾法改正法案の提出を検討しているところであります。また、予算的な対応といたしまして、国際コンテナ戦略港湾に係る二十三年度予算として、ハブ機能を強化するためのインフラの整備、そして荷役能力向上のための高規格ガントリークレーン等への支援制度、フィーダー輸送による貨物仕分の支援に係る合計四百億につきまして元気な日本復活特別枠で要求しているところであります。そしてまた、税制優遇に関しましては、二十三年度におきまして、港湾経営会社が取得いたしました上物施設に対する固定資産税等、また埠頭公社の民営化時の不動産承継に係る登録免許税等、特例措置を要求しているところであります。

○牧山ひろえ君

ありがとうございます。
次に、海江田大臣に御答弁いただきたいと思うんですが、我が国が国際的に果たす役割として、地域環境対策や感染症対策などの環境やライフサイエンス分野に関する先導的な取組を積極的に進めることによって成長産業の拠点を整備していく必要があると考えておりますが、これについて海江田大臣に御所見を伺いたいと思います。

○国務大臣(海江田万里君) 牧山委員にお答えをいたします。
牧山委員御高承のとおり、六月に閣議決定しました新成長戦略においてライフイノベーションによる健康大国の実現ということを位置付けをしております。
ライフイノベーションというのは、御案内のとおり、医療、介護などの分野で技術革新をしていくということでございまして、具体的には、我が国では新薬の開発でありますとかそれから再生医療、これは大変高い技術を持っておりますので、それから情報通信技術を駆使しました遠隔医療システム。日本の医療あるいは日本の薬というものには大変安全性が高いという世界的な評価もございますので、こうした世界の信頼をバックにして更にこの日本がまさに医療大国であるということを世界に対して訴えていかなければいけないというふうに考えております。

○牧山ひろえ君

ありがとうございます。
海外を含めた国内外の研究者、企業などを呼び込み、共同で研究開発や実用化に取り組む環境を整えるためにどのような規制緩和や特例措置を現在お考えでしょうか。

○委員長(松井孝治君)これはどなたに御質問ですか。

○牧山ひろえ君

片山大臣でしょうか。

○委員長(松井孝治君)規制改革、片山国務大臣御担当ですか。

○国務大臣(片山善博君)必ずしもそうではないんですが。
先ほど申し上げました総合特区という制度がこれからできますと、その中で例えばライフサイエンスだとかいろんな分野でこういう町づくりをしたい、都市づくりをしたいというような話が出てまいりまして、その中でいろんな既存の規制について緩和をすることによってそれは可能になるという、そういう御提案が出てくると思うんです。  ですから、その総合特区を、まずは制度をつくって、その運用をする中で是非必要な規制緩和でありますとか税制上その他の支援措置をしていくという、こういう流れになっていくだろうと思います。

○国務大臣(海江田万里君)私は科学技術政策も担当してございますので、その立場からお答えをいたしますが、第四期科学技術基本計画を策定をいたします。そして、平成二十三年度の予算の中で科学技術予算編成を充実させるということを通じて、関係各省の施策を調整しつつ、ライフサイエンス分野に関する取組を具体化しようというところでございます。

○牧山ひろえ君

今、片山大臣が言われた特区の関係でいいますと、仁川の経済自由区域においては、経済自由区域法に基づき、法人税、所得税の減免、土地賃貸料の減免及び労働規制の緩和などなどの優遇措置を受けることができ、仁川国際空港の物流ターミナル内にはこうした優遇措置を活用して、ヤマト運輸、DHL、UPSなど外国物流企業の進出が見られております。
羽田の国際化を契機に日本でもこのようなことを行うべきと考えますが、この点について大臣の御所見を伺いたいと思います。

○国務大臣(片山善博君)

それは先ほど申しましたように、これから総合特区、特に国際戦略をテーマにした総合特区をどういうふうに制度設計をするかということに懸かってくると思います。  これまで自治体でありますとか民間企業でありますとかNPOでありますとか、そういうところから、これは羽田地域に限らず全国いろんなところから提案をいただいておりまして、そういうことを参考にしながら、できれば、できればというか、できるだけ通常国会に法案を出して制度をつくっていきたいと思っております。
その中で具体的にどういうものが提案を生かすことができるのかという、ひとえにこれは制度設計に懸かっておりますので、もし今議員がおっしゃったようなことが提案として具体化できるということであれば、仁川と同じようにできるかどうかは、関係省庁ありますから今直ちに申し上げられませんけれども、それなりのことはできるんではないかと思っております。

○牧山ひろえ君

ありがとうございます。
次に、確定申告についてお話をしたいと思います。最初に蓮舫行政刷新担当大臣に御答弁いただきたいと思います。
現在、青色申告の書類は年内に、そして確定申告は一月半ばと、申告書がそれぞれ別々に届いているそうです。これは別々に送らなくても、両方を一緒にして一回で送れば経費も無駄にならないという意見が、税理士の方々もそういうふうにおっしゃっていますけれども、大臣はいかがでしょうか。

○国務大臣(蓮舫君) お答えします。
政府作成印刷物、それはどうやったらコストを抑えられるのか、本当にその広報物が要るのか要らないのか、その政策効果をお伝えするためにもっと効率的な渡し方があるのではないかという視点で、昨年の十一月に事業仕分第一弾で取り上げたところではございますが、御指摘の確定申告の手引であるとか確定申告書の用紙に関しては、まずはこれ国税庁において不断の見直しを行っていただくことが適切であり、その上でさらに牧山委員の御指摘のような行政刷新の必要性があるということであれば、私も適時それは検討したいと思っています。

○牧山ひろえ君

ありがとうございます。
五十嵐財務副大臣に御答弁いただきたいと思います。
それで、その申告書書類と一緒に確定申告の手引というものがありますが、これは三十ページぐらいの大変立派なフルカラーの冊子が皆様御存じのとおり同封されて送られてきております。これは個人に一冊送られてきます。私の場合ですと主人と私に一冊ずつ送られてきます。大変無駄だと思います。しかも、申告の際に更に税務署に行ってもう一冊もらってくる方もいらっしゃるというお話をよく聞きます。
これに関して、配付した資料である確定申告書の、三枚目の配付資料ですが、こちらの上のやや右の方を御覧ください。小さく、「翌年以降送付不要」というのが小さく書いてあります。私もなかなか気付かなかったんですが、とても小さく書いてありますけれども、目立たないのでもっと大きくするべきではないかと思いますけれども。
 それと同時に、確定申告書の手引の中で送付不要ということについての説明の文があるんですけれども、この中にも、御家族で同じものが送られてくる場合にも不要なのではないかとか、あるいはURLサイトでも同じものが見ることができますということを加えることも一つの手段だと思いますが、五十嵐副大臣、いかがでしょうか。

○副大臣(五十嵐文彦君) たくさん御質問をいただきましてありがとうございます。
まず最初の、蓮舫大臣がお答えになりましたけれども、青色申告決算書と確定申告書を同時に送付すれば経費削減になるのではないかという御質問に対しては、ただいま、実は国税局十二局ありますが、九局で同時発送いたしております。本年分、つまり平成二十二年分の確定申告期には更に一局増えて十局になります。残り二局は、これは東京局と名古屋局なんですが、これも二十三年分から、あと一年ちょっと後になりますが、これから同時発送にする予定でございます。この同時発送によるコスト削減効果は、全くしなかったときと比べて、十二局一斉に一律に実施した場合、三千五百万円の節税、節減効果があると、こう見込まれております。
 それから、確定申告書の手引でございますけれども、これはフルカラーに確かになっておりまして、平成十三年分からカラー化しているんですけれども、これはやはりお使いなる申告者の方の利便性を考えて、私も二十数年来実は自分で申告しておりますけれども、昔は間違いもあったんですが、カラー化されて大分見やすくなって、私はかえって間違いがなくなって結果的にはコストの面でもいいのかなというふうに思っております。
それから、世帯内で申告をする方が複数いられる場合に、やはり何で二冊送ってくるのというのはあると思いますが、細かい御家庭の構成やそれぞれの方々の意向を税務署では把握しているわけではございませんので、税務当局でですね、ですからこれは逆に、一々ここは抜くとかここは抜かないとかやるよりは、全部入れてしまった方が実はコストは掛からないのではないかというふうに思っていまして、なかなか実務上困難な面があると思います。
それから、翌年以降不要だというのは確かに書いてあるんですけれども、目立ちにくいということは事実でございますので、どこか手引等に分かりやすく記載するというのは検討すべき事項かなと、こう思っております。

○牧山ひろえ君

一斉に全員に送るのは楽は楽だとは思いますけれども、やはり三十ページにも及ぶ紙、フルカラーのものを全員に送るというのはやはりこの時代に合わないのではないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

○副大臣(五十嵐文彦君)ですから、実務上それを一々仕分するのが難しいということがあるというのと、やはりそれにコストがまた掛かりますということ。
それから、フルカラーに関しては、実は印刷数量は二千八百九十一万部で、印刷費用は三億一千七百十万円なんです。一部当たりの単価は十一円です、十一円。それで、そのうちの九円が実は紙代なんですね。残り印刷代が二円。かつて、私も覚えているんですが、かつてはもう二色であったんです、赤と黒。黒一色ではありませんでした。それがフルカラーになったんですが、これを黒一色にしたとしても、推定ですけれども、一部当たり〇・一円程度のコストの削減になると。二百八十九万円程度の、全体でです、削減になりますけれども、逆にそれで見にくくなって間違いが起きて何度も書類が行ったり来たりするよりは、むしろ分かりやすく利便性を図った方がその点ではいいのかなというふうに思っておりますが、ただ、いろいろな面で、おっしゃるとおり、コストの削減を検討しなければいけないというのは御指摘のとおりだと思います。

○牧山ひろえ君

ありがとうございます。
〇・一円しか減らないということですけれども、納税者の数を考えるととても大きなお金だと思いますので、是非具体的に幾らぐらいセーブできるのかというのも計算していただき、是非無駄遣いをカットできる方向に御努力いただければと思います。
また、所得税の確定申告書の用紙なんですけれども、これもフルカラーです。分かりやすくするために緑、紫、青、赤、ピンク、黄色とかいろいろありますけれども、単色若しくは、OCRなどの理由で赤は必要かもしれませんので、せめて二色刷りで十分だと思いますが、いかがでしょうか。

○副大臣(五十嵐文彦君)これもそういう御意見もあるかと思いますが、これをフルカラーにしたときに、やはり利用者の方々あるいは関係者、税理士さんとか、御意見を十分に伺った上でそれを聞いて作成をしたものでありまして、やはり使い勝手というか、間違いないようにということを重点にやらせていただいて、大分見やすく作りやすくなったかなと思っておりますので、プロの方々はまさに二色でも一色でもお間違えないかもしれませんけれども、全く税の知識のない方についても間違いなく記入していただくためには相当な工夫が必要だと考えておりまして、これはある程度カラー化というのはやむを得ないことかなと思っております。
ただ、コスト削減については、先ほども申し上げましたように、いろいろな面で工夫を重ねていかなければならないと、こう不断の努力をしなければいけないと思っております。

○牧山ひろえ君

カラーにすることによって分かりやすくするというのもあると思うんですけれども、字体を工夫したり、また図で何かをかいたり、そういった工夫でも大分分かりやすさというのは実現できると思いますが、いかがでしょうか。

○副大臣(五十嵐文彦君)それはおっしゃるとおりだろうと思います。そういう面の工夫も重ねていきたいと思います。

○牧山ひろえ君

ここでまた蓮舫大臣にお伺いしたいと思います。
事業仕分において、運転免許の更新時の講習の際に配られる教本を含む事業について、実施する機関を競争的に決定してコストを下げるべきだとの評価結果が出たと承知しております。確定申告書の確定申告の手引を始めとしたあらゆる公の資料について、フルカラーにするべきかどうか、またページ数も妥当かどうかを特に改訂版を刷るときとか増刷をする際に改めて見直すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(蓮舫君)いろんな考え方あるんだとは思いますけれども、今、五十嵐さんからもお話ありましたけれども、フルカラーにするか白黒にするか黒一色にするかでコストがどれぐらい違うのかという観点は確かにあるんだと思います、それは税金で使われていますから。
ただ、他方で、その色をどうするかということは、利用者、その手引あるいはその様々な冊子を活用する方がいかに分かりやすいか、使いやすいかという視点も欠かせないと思うんですね。白黒にした結果分からなくなってしまって、間違って送付をしてしまって、もう一回やり直さなければいけないという場合には新たなコストも発生をいたしますし、利用者にとって使い勝手が悪いという結果になると、それは行政としても都合がいいものではございませんので、それはその製作広報物それぞれにおいて担当省庁がつかさつかさに御判断をすることだと思っています。

○牧山ひろえ君

ありがとうございます。
これは過去の話になりますけれども、申告書がフルカラーになるということで、多くの税理士の事務所ではカラープリンターを導入したそうです。ですが、e―Taxが出てきてからは、最初の一年でカラーでなくていいということになりました。カラープリンターを導入して損をしたという話を聞いております。
申告書についてですが、初めの年は用紙の左端が二十六の穴があったそうなんですけれども、それに合わせて二十六の穴があるバインダーをたくさん買いそろえて、そしてたくさんお金を使ったという話を聞いております。しかし、一年後でその穴が四つに減ったという、そうすると、今度は四つの穴のものを買いそろえなくてはいけなくなったという話を聞いております。
このように、過去の話ですけれども、余り意味のない理由で方針が変わると無駄が生じるという意見も多数聞いております。
次の話題に移りたいと思います。
昨今、医師不足と言われて久しいですが、出産、育児のために一度職場を離れた女性の医師、看護師、介護士などが数年後、職場に再び復帰することを容易にするための制度づくりを早急に進めるべきであると思います。医学生を増やすことも一つの手段だとは思いますけれども、既に医師、看護師、介護士として経験のある離職女性を復職させることにより即戦力となる人員の確保が期待できます。
岡崎大臣にお伺いしたいんですが、医療現場における離職女性の復職について、御所見を伺いたいと思います。

○国務大臣(岡崎トミ子君)牧山委員に御報告いたしたいと思いますが、医師、看護師などに限らず、やはり一度出産、育児のために職場を離れるということが非常に多いわけなんですね。しかし、こうした皆さんたちがキャリアや専門性を生かしてきっちりと職場に復帰できると、能力が発揮できるということが大変重要だというふうに思っております。
 女性医師につきましては、その割合が年々増加してきております。特に、産婦人科、小児科、こういった医師不足の問題が強く意識されております診療科の若手医師に女性医師が多いわけなんですね。
 そこで、医師不足の問題解消の点から、女性医師が継続して就業することや、また職場に復帰することを支援する、こういうことは私たちも重要な課題と認識をしております。これまでにも、二十年に策定されました女性の参画加速プログラム、これに基づきましてワーク・ライフ・バランスの推進などに取り組んでまいりましたが、今後とも、女性の医療関係者の就業継続、復職支援ということについて、厚生労働省とも連携を取りながら取り組んでまいりたいと思っております。
以上です。

○牧山ひろえ君

ありがとうございます。
厚生労働省にお伺いしたいと思います。女性の復職の支援策としては、それぞれの職業でどのような施策が政府で講じられているのか、お伺いしたいと思います。

○政府参考人(篠田幸昌君) お答えを申し上げます。
今、岡崎大臣からも御答弁ございましたけれども、全く同じ考えでおるわけでございます。近年、医師国家試験合格者に占める女性の割合というのは約三分の一というふうに言われております。医療現場におけます女性の進出というのが進んでいるという状況にございます。このため、女性の医師等の方々が、個人的な出産あるいは育児といった様々なライフステージに対応いたしまして、安心して業務に対応していただけるような環境の整備が重要であろうと私ども考えております。
具体的に幾つか申し上げますと、お子さんを持っておられる女性医師あるいは看護師の方々の離職とかあるいは復職の、元の職に戻るということでの御支援のために、病院で設けております院内の保育所、こういうことを設けておられるところがあるわけでございますけれども、そちらの運営に対して財政上の御支援をお出ししているといった取組を私どもではいたしております。
また、出産とか育児によりまして離職をされております女性医師が復職をすることの支援ということで、都道府県の方に受付相談窓口を設置いたしまして、研修をするとかあるいは受入れ医療機関を御紹介するとか、そういった復職後の勤務形態、いろいろこれまた御要望もあろうかと思いますので、そういった御要望に応じた研修をするとか、そういった対策を今講じておるところでございます。
それから、もう一つ申し上げますと、柔軟な勤務形態というのも一つあろうかと思いますので、女性医師バンクあるいはナースバンクというふうに呼んでおりますけれども、就業あっせん等再就職のお手伝いを差し上げているというところでございます。
これらの事業につきまして、所要の予算を確保した上で対応してまいりたいと思っておりますし、今後ともこうした取組を着実に実施をいたしまして、女性医師の方々、看護師の方々、安心してまた医療の現場に戻っていただく、復職ができるといったような環境整備に努めてまいりたいというふうに考えております。

○牧山ひろえ君

今お伺いしたお話ですと、いろんな施策が施されているというふうには感じますけれども、実は現場の方々、医師の方々からは、女性医師の職場復帰が足りない、また、まだまだ離職している女性の医師の力が生かされてないのではないかという懸念の声がありますが、この声に対していかがでしょうか。

○政府参考人(篠田幸昌君)そういったお声も現実にあろうかと思います。私ども、そういった声に謙虚に耳を傾けさせていただきまして、具体的なところで打つ手がないか、あるいは先ほど申し上げましたようなところの充実を図りまして対応してまいりたいと存じます。今後とも御指導の方をよろしくお願いいたしたいと存じております。

○牧山ひろえ君

先ほどの女性医師バンク、この制度については、女性医師や雇用者の間で広く知られているのでしょうか。

○政府参考人(篠田幸昌君)事業の実績でございますけれども、最近始まったものもございますので一概に申し上げられませんけれども、例えば保育所の運営の事業、先ほど申し上げましたが、こちらにつきましては、二十一年度の実績で、交付の件数が一千百六十五か所ということで、一定の数字の方は出ておろうかと思います。
 また、いろいろと支援事業の、ナースセンターあるいは女性医師支援センターの事業でございますが、こちらは十八年辺りから始まっておりますけれども、まだ必ずしも十分ではございませんが、これまで二百名を上回るような、女性の医師の場合でございますけれども、紹介の、就業の成立が見られておりますので、今後とも充実を図ってまいりたいと存じます。

○牧山ひろえ君

女性医師自身がこの女性医師バンク制度について知らない方が多いんじゃないかという懸念があります。また、女性医師に限らず、看護師ですとか介護士も大変不足している地域が多いというふうに聞いておりますけれども、看護師とか介護士のバンク制度は同様にあるのでしょうか。

○政府参考人(篠田幸昌君)同様にございます。看護師さんにつきましても、ナースバンクということで御紹介をするという事業を進めております。それから、介護士さん、介護福祉士さん等の資格を持ちまして、これまた同様に出産等の理由で一度離れた方がいらっしゃいますけれども、そういう方々につきましてもその復職を支援するという事業を実施しておるところでございます。

○牧山ひろえ君

それは、同様ですけれども、看護師とか介護士又は雇用者の間で広く知られているのでしょうか。皆さんが知るすべはあるのでしょうか。

○政府参考人(篠田幸昌君)周知の方につきましても、私ども努力はしておるつもりでございます。ただ、御指摘のとおり、いろいろ個人個人で必ずしも十分な知識を、こういう事業につきまして十分な知識をお持ちでない方もいらっしゃろうかと思いますので、私ども、この事業の周知につきましても取り組んでまいりたいと思います。

○牧山ひろえ君

例えばホームページですとかいろんな機関誌に呼びかけるですとか、そういったことも考えられますでしょうか。

○政府参考人(篠田幸昌君)おっしゃるとおりでございます。
関係者の方々に理解をしていただきませんと効果が上がりませんので、そういった点は、ホームページへの掲載とかあるいは関係者の方々への周知の徹底とか、そういった点は十分配慮してまいりたいと思います。

○牧山ひろえ君

フィリピンとインドネシアとのEPAによって看護師と介護士を受け入れる事業が始まっております。
先日、私、インドネシアに視察に行った際に聞いたところによりますと、年に一回の国家試験を三年間で受からないと本国に帰らなくてはいけないという制度なんだそうなんですけれども、今のところ期待されているほどというか、本当に少ない数しかこの国家試験に受かっていなくて、ほとんどの方が本国に帰らなくてはいけないのではないかという懸念が生じております。
インドネシアの中でも政府関係者を始め大変この事態を残念に思っている人が多いようですけれども、医療スタッフが日本で不足している中で、特に女性の医療スタッフが少ない中で、日本でどうしても働きたいという方々に是非働く場を与えるべきであると思いますが、この状況に対して何か改善はなされているのでしょうか。また、される予定はありますでしょうか。

○政府参考人(篠田幸昌君)お答えを申し上げます。
先生御指摘のインドネシアあるいはフィリピンからの医療職の方に国内でチャレンジしていただくという事業でございますけれども、こちら、それぞれの国と二国間の協定に基づきまして特定的に始まったわけでございます。
実際、インドネシアなりフィリピンから来られた方、現場で研修と申しますか、実際の病院等に入られまして研修と実習を行っておられるわけでございます。
ただ、その後、国家試験を受けていただくわけでございますけれども、医療でございますので、私ども一定の水準と申しますか安全性の確保ということにも留意をしながら進めていく必要があろうかと存じております。
そこで、その結果でございますけれども、これいろいろ理由があろうかと思います。例えば、日本語の方の壁というのが私ども日本語を母国語とする者から想像するよりやや高いという点もあろうかと思いますけれども、結果で申しますと、これまで看護師国家試験に合格者の方々は、インドネシア、フィリピン両方合わせましてお三方という実績がございます。決して十分なと申しますか、成果としては多いというふうには申し上げられないかというふうに思います。
そこで、私どもこれに対してどういうふうにこれをサポートすると申しますか、より拡大していただけるような取組をしておるかということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、それぞれ数名ずつ病院の場で研修をし、あるいは実習をされているということでございますのでなかなか、一斉に集まるというのもなかなか難しい点がございます。そういうことで、それぞれの方の時間の都合に応じて研修をより濃密に、あるいは濃くやっていただけるように、e―ラーニングということが最近はございますけれども、そういった体制を整えまして自己学習の環境の整備をしてさしあげるとかそういったこと、あるいは国家試験が最終目標でございますので、そういった定期的な模擬試験みたいなことを実施するとか、あるいは事情が許せば集合研修をするとか、そういったことを特に今年度から大幅に増やしているということがございます。
それから、これは受入れ側の病院の方々にも御協力をいただくということがやっぱり必要かと思いますので、そういった方々への日ごろの指導につきまして、学習方法の指導ということを専門家の方々を派遣して実施をしているといったことを実際やっておるということでございます。
その他いろいろ取組をしておりますし、あとそれから、最終的には国家試験を受けていただくわけでございますが、先ほどちょっと申し上げましたように、やはり日本語の壁というのは、実際いらっしゃった方々からすると、意識されているされていないはあろうかと思いますけれども、なかなか高いものがあるというふうに考えております。
したがいまして、私ども国家試験そのものはもちろん必要だと思っておりますけれども、国家試験の問題の用語とかあるいは言い回しとか、より平易簡明な言葉で問題を作る、お出しするといった点、あるいは漢字の壁もございますので、漢字と英語の専門用語を併記するとか、そういった点で外国語を母国語とされている方々にも分かりやすくと、正確に理解をした上で試験に臨んでいただけるような、そういった取組をしたいというふうに考えておりまして、次回、来年二月になろうかと思いますが、その看護師国家試験からこういったことを、今の試験の問題の点でございますけれども、実施をしてまいりたいと思います。
厚生労働省といたしましては、意欲と能力のある候補者の方々、一人でも多く国家試験に合格をしていただきたいというものが基本的な考え方でございます。今後ともそういった支援策を講じてまいるということを考えておりますので、どうぞよろしくお願いをいたしたいと存じます。

○牧山ひろえ君

漢字ですとかその試験の中での言葉の使い方とかいろいろ工夫はあると思うんですけれども、今のところはもう三年間、三回受けたらもうチャンスはないということですけれども、三年といわず、本国に帰っても引き続き試験勉強をして同じ国家試験を受けることができるとか、もっと頑張ればいつかはその努力が報われるような形を取っていただきたいと思います。
また、例えば日本にある外国人が多いクリニックですとか外国人が多い病院ですとか、そういったところで働くということなども提案したいと思いますが、こういった提案についていかがでしょうか。

○政府参考人(篠田幸昌君) 先ほど申し上げましたように、いろいろ打つべき手は私どもあろうかと思いますので、一つ一つ実施をいたしまして、海外の方々でも国内の医療に従事して戦力になっていただけるというのは有り難いお話でございますので、そういったことごと、できるものについては対応してまいりたいというふうに考えております。

○牧山ひろえ君

ありがとうございます。
次に、障害者雇用についてお伺いしたいと思います。
まず、岡崎大臣に御答弁いただきたいと思います。
現在、障害者基本法の制定に向けて、障がい者制度改革推進会議において議論を行っていることと承知しておりますけれども、岡崎大臣に議論の現状と障害者施策を今後どのように進めていきたいのかについて御所見を伺いたいと思います。

○国務大臣(岡崎トミ子君)牧山委員御指摘の障害者制度改革の推進のための基本的な方向につきましては、障害当事者の皆さんが参加をしております障がい者制度改革推進会議、今年六月にまとめた第一次意見を最大限尊重しまして、六月二十九日に閣議決定を行ったところでございます。
その中では、制度改革の基本的な方向として、障害者の地域における生活の実現、障害者があらゆる分野において社会から分け隔てられることのないインクルーシブな社会を構築する、こうしたことを目指しておりまして、労働、雇用、教育、福祉といった個別分野における改革の工程表を示しております。
この閣議決定を受けまして、障がい者制度改革推進会議におきましては、引き続き障害者の権利及び尊厳の尊重、障害のとらえ方、障害者制度改革の推進体制等について議論をいただいているところでございまして、年末を目途に第二次意見を取りまとめていただく予定となっております。こうした議論を踏まえまして、障害者基本法の改正について、次期通常国会に法案を提出しようというふうに今目指しているところでございます。
今後とも、一人一人を包摂する社会の実現を目指す内閣といたしまして、障害者制度改革の着実な実現を図ってまいりたいと思います。

○牧山ひろえ君

障害者の方々や御家族の方々に、なかなかいろんな状況が改善しないという、そういった声を伺っておりますので、是非、年末にはよろしくお願いいたします。
ところで、障害者雇用率を高めるために、これは厚生労働省にお伺いしたいんですが、障害者雇用率を高めるために事業協同組合等算定特例という制度があると思いますが、この制度の利用状況についてお伺いしたいと思います。

○政府参考人(中沖剛君)お答えを申し上げます。
単独の企業では、障害を持った方について十分な仕事を提供できない場合に、他の企業と共同によります障害者雇用の道を開くために、委員御指摘のとおり、昨年の四月から企業が事業協同組合等を活用いたしまして、企業の枠を超えて特例的に障害者の雇用率を通算することが可能になっております。したがいまして、こうした制度を使えば、個々の事業主につきましては雇用率未達成でございましても協同組合なり全体で雇用率を達成いただければ雇用義務を果たしているということになるわけでございます。
ただ、しかしながら、事業協同組合などにおきましては、雇用率を達成している企業と未達成の企業が混在する中でございますので、どうしても達成している方の企業に御納得、合意していただくのがなかなか困難だという実情があるわけでございまして、問い合わせは結構あるんでございますが、申請に至ったものが少ないということもありまして、現在までこの特例制度を認定した件数は一件となっております。

○牧山ひろえ君

一件というのは非常に残念な気がしますけれども、原因は何だと思いますか。

○政府参考人(中沖剛君) 今御説明したわけでございますが、いろいろな企業が集まって事業協同組合をつくってまいります。そのときに自分のところで一生懸命努力をして障害者をたくさん雇っていますと、その努力の結果がほかの企業に無条件に提供されてしまうということになりますと、やはりなかなか感情的な部分もございますし、そういう企業の合意を得た上で、要するに全体としてやはりコンセンサスをつくった上で制度を適用する必要がございますので、事業協同組合としてなかなか決定することは難しいようだと。問い合わせで私どもが事業を説明いたしますと、なかなか難しいんですねというような声も返ってきておりまして、この点、またしっかりPR等してまいりたいと考えております。

○牧山ひろえ君

その仕組み自体を、PRも大事だと思うんですけれども、仕組み自体をどういうふうに改善していく御予定でしょうか。

○政府参考人(中沖剛君)確かに、出だしでございまして、実は昨年の四月からスタートしたところでございます。今後の状況を見て、当然利用率が悪ければいろいろ考えなきゃいかぬとは考えておりますが、まだスタートして一年ぐらいでございますので、この後の出方を見て考えたいと思っております。
なお、PRでございます、済みません、ちょっと手元に、ここにあって恐縮でございます。実は、この事業主の協同の、事業組合の特例につきましては、八ページのパンフレットのうち実は二ページ、カラーで大きく載せておりまして、しかも一番後ろのページに分かりやすいところに出ておりますので、私どもの方もこういった法改正の説明会をするときにはこの点についてもきちっと説明をいたしておりますので、今後ともPRに努めてまいりたいというふうに考えております。

○牧山ひろえ君

お話の内容を聞きますと、何かPRの問題じゃなさそうな感じがするんですけど、制度そのものの根本的な問題だと思うんですが、制度の仕組みの根本的な改善をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(中沖剛君)確かに進まなければ私どもの方もいろいろ考えなきゃならぬというふうには考えております。
ただ、障害者雇用につきましては、実はいろんな制度、助成制度がございます。例えば、私どもの方で特に、これ事業協同組合が使う場合にはどうしても中小企業が中心になってまいりますが、中小企業の皆様方についてはいろんな支援措置を御用意いたしております。こういったものを実は強化しておりまして、こういったものを使いながらこういった制度に結び付けていくというような指導もいたしているところでございます。
具体的に申し上げますと、例えば障害の特性に応じてでございますが、ハローワークにおいて、地域に福祉の機関ですとか学校、特別支援学校等教育の機関がございますので、こうしたところとハローワークが中心になりましてチームを組みます。そこでこうした方々について就職から定着まで一貫したサポートを行うような、これチーム支援と呼んでおりますが、こういったものについても予算を増やしたりして強化をいたしておりますし、また地域で社会福祉法人等がございますが、こういった力もお借りしております。こういった社会福祉法人等を指定いたしまして、働くだけじゃなくて、当然生活面の支援も必要でございますから、両方の支援について相談等を行う障害者就業・生活支援センターというものを毎年かなり積み重ねてきておりまして、もうほぼ障害福祉圏域の全体に近いところまで数字が上がってきておりますので、こうしたところを支援を通じて制度、要するに中小企業が雇用しやすくなるというようなことをやってまいりたいと考えておりますし、また助成制度につきましても実は中小企業を優遇しております。
具体的に申しますと、例えば障害者を雇い入れた場合には、大企業と比べまして中小企業については助成額をかなり大幅に増やしております。また、中小企業の場合、どうしても今まで障害者を雇用したことがないというところも結構ございますので、そういった今まで障害者を雇用した経験がない企業が初めて障害者を雇った場合には百万円の奨励金を出すよというような制度もつくったところでございまして、こうした制度と併せて、先ほど申し上げたようなこの事業組合の制度も強化してまいりたいというふうに考えております。

○牧山ひろえ君

ありがとうございます。
障害者雇用に関し様々な改正があったことについて伺いました。具体的には、障害者納付金制度の対象事業主の拡大、三百人を超える事業主だったのが今年の七月から二百人になったこと、また短時間労働者が障害者雇用率制度の対象として追加されたことです。
確認なんですけれども、ということは、障害者にとって短時間労働の職場が増えたという理解でよろしいのでしょうか。

○政府参考人(中沖剛君)短時間労働の方が、週所定時間二十時間以上三十時間未満の方が雇用率制度の対象になりますので、当然、障害者の方の場合、要するに体力的に問題があったりしますので、どうしても短い時間しか働けないという方、結構いらっしゃいます。そうすると、そういう方にとってはこういう短時間でも雇用率の適用の対象になるということはかなりメリットがございますので、当然いろんな職場が拡大したというふうに考えております。

○牧山ひろえ君

そうであれば、職場を探している障害者に対してハローワーク、ハローワークに行くとそういうところがあるということは先日お伺いしましたけれども、そのほかの方法でもお知らせすることが大事だと思いますけれども、この点に関してはいかがでしょうか。

○政府参考人(中沖剛君)確かにハローワークで、先ほど申し上げましたチーム支援というような形で、要するに地域の福祉なり学校を巻き込んだような形でも二十一年度では支援対象者一万三千人を対象にいたしまして六千四百人弱の就職件数を上げたところでございますし、また、一番最初に御答弁いたしました障害者就業・生活支援センター、これは地域の社会福祉法人等を使うものでございますが、ここも二十一年度は全国で二百四十七か所設置いたしまして、延べで六万四千六百人の方を支援対象にして八千人余り就職に結び付けるというふうな結果が出ておりまして、ハローワークだけでなくこうした地域の資源も利用しつつ雇用を進めているところでございます。

○牧山ひろえ君

障害を持つ子供が基本的には最寄りの公立学校も選択できるように公立学校の保健室のスタッフに可能な限りの医療知識ですとか訓練を施す必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○委員長(松井孝治君)中沖部長、答弁できますか。

○政府参考人(中沖剛君)済みません。学校のことでございますと実は文部科学省が担当でございまして、私どもなかなか答弁する能力ないわけでございますが、先生の今日の御指摘ございましたので、文部科学省の方には伝えてまいりたいというふうに考えております。

○牧山ひろえ君

ダウン症など障害児であることを家族に宣告する医師の横には、特に御家族の方々の心のケアを施してくれる臨床心理士が必要だという意見を多く聞いておりますけれども、今現在どういう形になっているんでしょうか。

○委員長(松井孝治君)いかがですか。どなたか答弁できる方はいらっしゃいますか。篠田審議官。

○政府参考人(篠田幸昌君)医療現場でいろいろな職種の方、やはりサポートしていただくというのが医療の在り方としてやっぱり望ましいんだろうというふうに思っております。医療現場、いろいろな職種、お医者様あるいは看護師さんの方々以外にも、今おっしゃったような臨床の御担当の方、あるいはクラークと呼んでおりますが、事務の方々と、そういった方々、総合して取り組むというのがやっぱり医療の一つの姿だろうと思いますので、必ずしもそういうところの状況が整っておる病院、その他の病院もありましょうけれども、そういったことでできる限り厚いケアができるような医療体制が望ましいというふうに考えております。

○牧山ひろえ君

そうすると、今の現状ですと義務ではないということですね。

○政府参考人(篠田幸昌君)いろいろ医療機関によっても差があろうかと思います。かつてと比べますと、そういった心理の面でのサポートというのも大分高まってきているところもあろうかと思いますけれども、いろいろ差がまだあるというのが現実ではないかというふうに考えております。

○牧山ひろえ君

具体的にはどういう方法でこの問題、解決する方向に行くんでしょうか。こういう話いろんなところで聞くので、是非お願いします。

○政府参考人(篠田幸昌君)なかなかここでお答えするのが難しい問題だというふうに思っておりますけれども、医療現場の御理解ということもございますし、また、トータルな見地から医療というものを考えるということもまた必要だと思いますし、それぞれの職種の方あるいは専門の方々がそういうような医療の現場へ参画していただけるという体制が一つ今後の取組として重要だろうというふうに思っております。

○牧山ひろえ君

また、障害の宣告と同時に心のケアも大事なんですけれども、リハビリの情報を早い時点でお知らせしてあげる医師が必要だと思いますが、この点に関しては今どういう状況でしょうか。

○政府参考人(篠田幸昌君)リハビリに関しましては、実は先ほどの御答弁あるいは御質問でございましたけれども、お医者さんが不足しているという、診療科によりましては不足しているのが実情でございますけれども、そのうちの一つがリハビリ関係だというふうに認識をいたしております。
 先ほどのまた御質問あるいは御回答に戻って恐縮でございますけれども、そういった不足、あるいは十分なお医者様がいらっしゃらない科につきましては、先ほど申し上げました女性の離職した方に戻っていただくなり、あるいは地域での対応をしていただくなり、あるいは地域全体として対応していただくような仕組みを検討するとか、そういったことが必要かというふうに考えております。

○牧山ひろえ君

医療スタッフが今不足しているというのは承知しておりますけれども、今現在いらっしゃる医療スタッフの方々にリハビリの情報も同時に、リハビリが可能であればリハビリの情報も宣告と同時にお伝えするという、そういったこともお伝えしていただきたいんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(篠田幸昌君) おっしゃられましたこと、それぞれの現場で必要なことだと思いますので、可能な限り対応してまいりたいと思います。

○牧山ひろえ君

ちょっと一つの例を申し上げますと、私の知り合いでダウン症の子供を育てている方がいるんですけれども、その方は早い段階でリハビリの情報とかリハビリの方法を教えてくれる方、出会ったそうなんです。それで、その子供が小さいときに二本の足で歩けるように足の訓練の仕方ですとか、そういったことを教えていただいて、三歳、四歳になったときに二本の足で歩けるようになったという話を聞いております。と同時に、同じぐらいの年齢の子供を持つ別のダウン症の親の方はそういった情報をもらえなかった。三歳になったときに、同じ年齢を持つ子供がいるのにそういう情報を与えられなかったために大分成長の差が出てきたという話を聞いております。
 この件についてはいかがでしょうか。

○政府参考人(篠田幸昌君)医療のお話でございますので、可能な限り全国あるいはその医療機関通しまして同様の扱いができるというのがやはり望ましいというのはおっしゃるとおりだと思います。それぞれの病院の事情もありますということを申し上げたわけでございますけれども、そういった凸凹がないように、質的にも十分な医療がそれぞれの地域で成り立つようにということが大事かと思いますので、心掛けてまいりたいと存じます。

○牧山ひろえ君

身障者の方々のいろんなケア、また御家族のケア、身障者の子供たちの教育、医療現場の在り方、様々な分野においていろんな施策が施される必要があると思いますが、是非岡崎大臣に頑張っていただきたいと思いますが、今の一連の流れの話を聞いて、岡崎大臣の所見を知りたいと思います。よろしくお願いします。

○国務大臣(岡崎トミ子君)私は、障害者の権利条約、この採択の後、日本の中でしっかりとこのことが根付くようにというふうに考えておりまして、これまで検討されてこなかった人権という問題について、様々な権利という問題について、また、これまで職場の中でも十分に配慮されてこなかった、何が足りないのか、そういう問題についてしっかりととらえて、社会全体で障害を持つ人たちが生活の空間の中で自立できていく、そういうようなことに目指して一生懸命頑張ってまいりたいというふうに思っております。

○牧山ひろえ君

是非年末までには、もう今までになかった具体的ないろんな施策を施していただけるよう、心からお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。

○委員長(松井孝治君)終わられますか。

○牧山ひろえ君

はい、質問を終わります。